2012年1月17日火曜日

社長の原稿

ダイエー人事時代で忘れていたことがある。
教育・研修で社長にお越しいただき訓示を頂くことが多々あった。

訓示の原稿(レジメ)は事務局としてまとめて数日前には社長に渡さなければならない。
その機会は入社式に始まり、新入社員の研修、階層別の研修等々、人事に在籍の3年間で毎年5回として10数回は社長の原稿を書いたことがある。しかし、それをそのまま読んでもらったのはたった1回、それも異動が決まってからの最終の新入社員研修の時だ。 これで最後と言うのを知っていたかのようである意味感激した。

富士の裾野、御殿場の国立青少年の家での新入社員研修の最終回のこと。
いつも社長の原稿(レジメ)は壇上の演台に置いておく、しかし社長は読まない。厭味ったらしく「今日はこんな話をしろと人事が作っておいてありますが・・・」とその原稿を手にとって見せてわざわざ脇に置き、自分が持ってきた風呂敷包をあけて自身の資料を取り出して話だす。
そんな時はガックリ、だがそれにも数回続くと慣れてきていた。と言っていいかげんな原稿を作る訳にもいかないので、無駄な作業とは判っていても真剣に時間をかけて作ったものだ。
しかし、その時の社長は素直に原稿を開いてそれに従って話し出した。
殆ど私の作った原稿そのものだ。脱線もあまりしなかった。だから聞いている方はあまり面白くなかったかもしれない。ふと社長の体調か何か悪いのかなとも思った。シンドイから現行のまま話したのかもしれない。
でも嬉しかった。人事を卒業する卒業論文が評価されたような感じだ。
神戸に移ってからは、会合・Partyの挨拶原稿は何回か書いたが、挨拶は形式的なものだから書くのも面白くない。
研修の「社長訓示」はその研修の成否を左右しかねないから重要なものだ。それだけにやりがいはあった。最後に卒論がパスして感慨無量ではあった。

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