2011年9月30日金曜日

店長の仕事。

   スーパーの店長の仕事って何なんだろう?
キレイごとは言えるが、ホンマ何なのか未だにわからない。

日本のスーパーマーケットはチェーンストアの形態をとっているのが多い。
つまりは、アメリカで発達した理論の模倣、しかし日本はアメリカと違う点が多い。一番違うのは店舗の型、土地の少ない日本では空いている土地にしか建物は建てられない。大きさ、型、その他規制もある。したがって、一番大事な売場の型が全ての店舗で異なるのが普通、だからマニュアル化は難しいし、そのままオペレーションが出来ない。だから個々の店長の仕事はその店独自のマニュアルを作ること。 代々の店長がマニュアルを書き足すことでより良い手引書が出来る。

 ボクの赴任したのはサカエ吹田店、サカエと言うのは社長の実弟がしているスーパーマーケットチェーン、その店の近くにダイエーが吹田店と言う大型店を出店した。当時、サカエの吹田店はサカエで1,2を争う繁盛店、それがダイエー出店の煽りで超不振店に。その時のグループ調整でサカエ吹田店は出店の責任上ダイエーが運営することに、また地元とはダイエーと競合しないスタイルで営業する(つまりは食品スーパーではなく専門店型に)との申し合わせができた。
その結果、サカエ吹田店はヘルス&ビューティーの専門店に改装して営業していた。しかし、それも失敗してガタガタ、超赤字店。


それを何とかすることと言う指示で店長になった。
本部長曰くは「営業も、企画も、改装も経験している・・・」から任す。身に余るありがたいお言葉だが、どないせー言うんヤ!
店長着任後、通常業務を最低限にして改装計画に着手した。何せ毎月2500万円の赤字、一日も早い改装が期待された。 

約半年でプランをまとめて社長答申、経費は3.6億。1年に3億の赤字店だからそれ位かけねばと思っていたが、社長がバッサリ経費をカット。2.6億でやれと言う。社長の決裁は絶対の会社。でも1億経費削減はどう考えてもムリ、でもしなければならない。そこで思いついたのは業者の再選定・再見積もり、つまり通常使うグループの業者をやめて、オープンにして再入札、コストダウン。
そして一番の決断は監督業者(工事を仕切る)をカットすること。それで何とか2.6億まで経費をダウンしてやっとGo!

現場監督がいない改装工事が始まった。毎日、業者の責任者とミーティングして明日の工事の段取りを決める。何とか工事を進めた。今から思うとよくやったものだ。業者も事情を理解していたのでムリを聞いてくれ、大きなもめごとはなかった。

 何とか改装工事は進んだが、最大の問題は地元商店街との調整。
ダイエーの場合、普通は総務の担当がする業務だが、会社としてはサカエ、サカエは運営委託した店だから動かない。店長がしろと言う、致し方なく商店街の会長と話合うハメに。元の食品をおいたスーパーはしないと言う申し合わせに違反しているのだ。頭を下げて頼みこむしか手はない。最終的には協力金という訳のわからない金での解決になるだろう。でも最初からお互い金の話はしない。交渉は半年以上かかった。改装オープン日も決まった後がない時点で「これがなぁ・・・」と指を丸めてくれた。問題は金額、会長は指3本だした。その間言葉はナシ。「解りました」とは言ってみたものの、3000万なのか300万なのか?
3000万は多すぎる。思いきって300万にした。恥かいたら恥かいたでそのときや!

改装オープンの前日の夜に商店街と合意することになった。一席設けてシャンシャンシャンと行きたい。一杯飲んでも全然まわらない、早く解決して帰りたいのとこの金額でOKなのか色々考えると・・・。
 恐る恐る300万円の封筒をを出すと、チオラッと中を覗いて「領収書はないけど一筆書いたろ」と会長、先方の方が慣れてる。会長は名刺の裏に「今後一切・・・」と書いてくれた。ホッと一息。これで社内的にも決済出来る。 エー経験したけどこれでオープン前日、何のチェックも出来ず仕舞。

 オープン日には社長の巡回がある。
何を聞かれても答えなければならないのに、出たとこ勝負や。でも予想通りの来客数で社長もホクホク、質問もナシ。ラッキー!

・・・と言うことで何とか改装オープンはしたが、チラシ効果のみ売上げが全然伸びない。また不振店へ逆もどり。
赤字額はさすがに減ったが、依然黒字化は見込めない。苦悩の日々が続く。
これが店長の仕事なのか? 

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