2011年12月5日月曜日

流通科学大学

大学を作る話。
中内社長が私財をなげうって大学を作るということになった。
しかも神戸に、「流通科学大学」だ。(関東にある流通経済大学とは無関係)
ホンネは相続対策だが! 財団法人に寄付したら、その時点でその金は公共のもの。支配は可能だが自分のものではなくなる。そこんとこをダマシタ奴が大学設立を持ちかけ、社長はのった。
多くの新規事業やプロジェクトを始める場合、神戸関連が多い。
従って準備チームは本店内に置かれることも多くなる。その為かどうかは疑問だが、1フロア余分に事務所スペースが空けてある、空いている。

例によって準備チームが本店内におかれ数名の担当が常駐した。学校法人の設立なんて殆どというよりは全くの素人、苦労していたようだ。
この業務は本店(というよりはダイエー)とは無関係の話で首を突っ込むことはなかったが、神戸の人にとってダイエーが作る大学ということでどこへ行っても話題にはされたので、情報だけは知っておかないといけなかった。
私が担当していた中内育英会の関係で流通・商業関係の大学の先生もこの大学設立に関係されていたり、関心を持たれたりしていて色々と聞かれたり情報もあった。だから大学設立チームとの情報交換も大切であった。
文部省への申請や、大学用地を取得するための神戸市(市の開発地を購入)との調整やらチームのメンバーは色々大変だったようだ。

流通科学大学自体はダイエーが作るということで非常な人気だった。
要はこの大学を卒業すればダイエーに就職出来るとのうわさで、初年度の入試応募者は倍率50倍、関西の有名私大・関関同立の次にランクされる位の人気だった。

これが、大変なことになった。
受験者が多いのはありがたいが、実際の入試が大変。1万名を越す受験者の入試をしなければならない。受検会場が足りない。入学試験を管理する先生が足りない。そこで受験会場は近隣の大学や・高校をかりて、受検当日はなんと我々ダイエーの管理職が担当することになった。これは内密の話、民間企業の社員など受検に使うなんて文部省はOKしないだろうから。
で、その理由かは知らないが、当日(日曜日)は無給・交通費も出ない。出たのはヤヤ豪華な弁当だけ! 受験料を何億も稼いでいるのに。 

現場が面白かった。(受験生の皆さんゴメンナサイ)
担当した受検会場は50名位入る小さな教室、そこを二人で担当、お互い取り決めをした。「お互いを先生と呼ぶこと」「必要以外には喋らないこと」「笑わないこと」等々。社内ではあだ名で呼んだり冗談をよく言うが、それはやめようと、受験生に失礼だからの配慮。
しかし、倍率50倍、教室に50名、つまりこの教室で1名しか合格しないのだ。何という厳しさ!

その後、事務長を務める中内育英会の奨学金枠がこの流通科学大学にも割り当てることになり、例の中国人留学生のこともあり大学との関係は深まっていった。
当時、大学へ出向した(させられた)ダイエー社員は「大学へ飛ばされた」という被害者意識を持っていたようだが、ダイエーが崩壊した今となっては大学だけが残り、彼らも残り「ラッキー」そのもの。
人生すべて「塞翁が馬」。

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