2011年11月6日日曜日

脅 迫 事 件   


 本店勤務の10年余りの間に数回の脅迫事件に遭遇した。

 全て金目当ての事件で、毒物を店の売場にまくといった流通業者の弱みに付け込んだ卑劣なものだったが、全て大事になる前に解決出来た。

 一つは一本の電話から始まった。
最初は具体性のない売場に毒物をばらまくぞと言った脅迫電話があり、そのような脅しはまぁあることなので放置はしないまでも取り合わなかった。2度3度と同じような電話があり、総務と協議し警察に通報することになった。所轄の兵庫県警港湾署に通報すると兵庫県警の専門部隊が乗り込んできてくれた。会議室を専用の部屋に設置、各種捜査機器がが持込まれ(なぜか機器類には座布団を敷く。雑音防止の為か?)専任の警官が数名常駐、TVドラマのような体制になった。外部へ漏れることを恐れて私ともう一人の担当者が専任、全ての仕事はストップ。電話の前で一日中はりつけられた。   毎日1回は犯人から電話がある。最初は具体性が全くなく「毒をまくから金を出せ」いったいそれでどうしろと言うのかそれ以上は言わない。金が幾ら欲しいのか?その受け渡しは? ひょっとしたら愉快犯かも? その間、警察では犯人像を少ない情報から割出そうと色々と分析していたようだ。4,5日がたった時やっと具体的要求があった「20億用意しろ」と。これで警察は犯人が素人と割り出した。知らなかったが1億円で紙袋一つになり20億円となると紙袋20個になり一人では運搬不可能だからだ。警察の指示通りその旨を次の電話で伝えると4億で良いという。これで警察は動き出した。そのストーリー通り犯人逮捕へ向けて動き出した。 犯人の要求通りに金(勿論新聞紙)を用意し、受け渡しの場所に持っていき犯人の現れるのを待った。問題は神戸で発生し兵庫県警が動いていたのに犯人は受渡し場所に大阪を指定。府県が異なるので大阪府警にその旨申請しないと逮捕出来ないということ。緊急を要したので、担当課長が府警に電話で仁義を切り逮捕に向かう。警察の世界もややこしい)犯人は現れなかったが受け渡し場所を中心に捜査網を引き挙動不審者を調べていくと最終的には犯人が捕まった。1件落着。マスコミにも漏れず、内々で処理できて万々歳だった。
 この間約1週間、この件は誰にも喋るなと言われ本店内でも警察が来て何か事件とはわかっても脅迫事件とはだれも知らなかった。

 もうひとつ、これは最終的には新聞沙汰にはなったが、犯人が台湾まで逃げた事件があった。これは東京の本社がらみではあったが、本店の常務が担当した。詳細はいまだに分からないが、常務から何日か不在になる「不在であることも何をしているかも一切言うな」との指示、その間の職務代行をまかされた。事実上、業務はストップ。何もすることはなかったが、常務を訪ねてくる人や電話、社内の人間をも騙さないといけない。10日ほど解決までにかかったがその間非常に苦労したのを覚えている。

 脅迫事件で何が困るかと言えば、表ざたになった場合に店の営業に多大な影響をあたかねないこと、毒物混入は食品を扱う我々にとって計り知れない影響があるのだ。毒物より爆発物の方がましなくらいだ。毒物は死に至るような劇薬でなくても大腸菌でも困るのだ。特にスーパー事業だけでなく、飲食チェーンもしているので大正店舗は千店を超える。今のようにコンビニまでやっているともっと大変だ。
 
 基本方針は「絶対に金は出さない」これを犯人が知っていたら、又一度も成功した事例がないことも知っていてほしい。捕まるだけソンですよ。
 大企業になるとこの手の事件は有名税かもしれないが、いいかげんにしてほしい。

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