2011年11月7日月曜日

M & A

 M&Aと言えば今は一般的になってきているが当時はその言葉が経済紙にのる程度で実際にはどのようなものか余り知れ渡っていなかったと思う。
 M&Aは企業買収の手法だから財務の問題、本店には関係ないと思っていたら実際は主たる事務所たる本店が担当すべき問題とのこと。主たる事務所と法律上の本店のギャップがまた出た。

 常務に呼ばれてM&Aの担当を突然命じられた。
関係先の窓口になれという。つまり、例のごとく名目上の本店だから問い合わせがないとも限らない。業務としては詳しいことは担当部署にと振るだけのことだが、ある程度は知識がないといけない。付け焼刃で勉強した。何せ、話を聞いてから実行まで1週間もないのだ。M&Aとはそんなものらしい。そして実行までは極秘扱い。例によって家族にも話すなだ。 これはインサイダー取引になるから法律違反なのだ。 

 具体的には当時問題になっていた㈱秀和の忠実屋株の買い占め問題、なぜ秀和がスーパーの忠実屋の株式を買い占めたのかは未だに不明だが、とにかく秀和は買い占めたものの処分出来ず困っていたと思われる。その株式を全て(総額2000億だったと思う)引き取ろうというのがM&Aの目的、市場外でオープンな型で株を取得するには最適の手法だ。後から聞くと、秀和に資金提供していたのはアメリカの金融機関で秀和がパンクするとその会社も危なくなり、ひいては日米関係にというレベルの話だったとか!

 M&Aは株式を取得したい会社の株主に対して価格を決めて公表、一括購入する。
ここで問題はその計画全体と購入価格、これらの情報がもれて株の売買に使われたら大問題、しかもそれが内部の人間であればインサイダー取引になり御用となる。だから、秘密は絶対守らねばならない。誰にも言うなと言われて守るのは意外とツライものがあった。その間1週間ほどニュースは秀和のことを取り上げているし、と言って話題にも出来ない。実行日まで株価の変動がないことを祈った。

 結局は株価は落ち着いたままで問合せもなく、実行日がきて期間内に秀和からも応募があり、一件落着。しかも秀和からしか応募がなく、何のためのM&Aなのか、公示費用(新聞全紙に全国全面広告した)がかかっただけのような感じ。
オープンにして忠実屋の株式を入手しただけの話。

 こうして忠実屋はダイエーグループの企業になり、最終的には合併した。
当社としては忠実屋が地盤とする関東圏に店舗が確保されたことになっているが、実際は不振店舗が多く、最終的にはお荷物となったようだ。
パチンコ事業や印刷業等の関連会社もついてきてつぶすわけにもいかず、パチンコ屋まですることになった。これが後々厄介なことになるとは!








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