2011年11月11日金曜日

阪神淡路大震災 ①


 平成7年1月17日早朝5時46分あの忌わしい阪神淡路大震災が発生した。
 その朝、私は自宅2階で就寝中だった。
激しい揺れに眼が覚めて地震だと気づいてからも未だ揺れは続くのでこの世も終わりかと思った。
 普通は「アッ地震だ」で地震は収まる。
しかしこの地震は眼が覚めてベッドの上で地震だと思ってから横にいる家内とどうしようと会話があった位長く揺れた。家が揺れる音と何かゴーッと異様な音がしていた。数分も揺れていたように感じたが実際は1分位だった。 
 やっと揺れがおさまり、階下の息子たちに声をかけたら大丈夫との返事、家族は全員無事なようだ。落着いて部屋の中を見るとグチャグチャに物が床に散乱、歩くにも歩けないほど。第一足の裏が痛い。ガラス片が散乱していた。靴を探して皆に靴を履かせた。窓から外を見るとそこいらの家が壊れている。明け方の空が異様な色をしていた。しかも物音がしない。すべてがストップしている。電車も車も動いていないのだ。何という静寂、地獄とはこんなものか?とも思った。 家の中を見回ると建物には大きな被害はないものの色々と物が散乱している。特に食器類・ガラスものが割れて床一面に散らばり歩けない。とりあえず居場所を確保し、家族で対応を話し合う。
 一段落して常務に電話(当初は携帯が繋がった)例のKLW問題決定の重要な会合が夕刻市役所である。この状態では行けるかどうかわからない。「宝塚はヒドイ地震」と報告したのを覚えている。停電中でTVも映らず、周りの状況しかわからないのでまさか神戸があんなに酷いことになっているとは知らなかった。
 とにかく家の中を整理しないといけない。
その時、咄嗟に湯船を一杯にした。水道は辛うじてまだ出ていたので、目いっぱい風呂を一杯にしておいた。因みに水道はそのあと直ぐに止まってしまった。この水が後々非常に役立った。
そして全員クツを履いて家の中を掃除、ユックリ見ると電灯は線が根元から千切れているし、あの重いテレビが吹っ飛んでいる。ラッキーだったのは3年前に家をプレハブに建替えていたこと、壁にキレツは走っているがよく見ると壁紙が破れているだけ、鉄骨構造なので枠組はシッカリしている。ただ、ドア類は金具ごと外れていたり壊れていた。引き戸は外れて素っ飛んで角が壁に刺さっている。電機・ガス・水道・電話といったいわゆるインフラは全てNG。食器という食器は粉々に。そして外壁がボロボロに痛んでいた。ブロック塀がグラグラする。しかし倒れてはいない。ちゃんと中に鉄骨が入っている証拠。隣家の塀は完全に崩壊、道をふさいでいる。工事がずさんなのだ。
 家の中の整理が何とか一段落したので、ゴミを出そうと表へ出てビックリ、近所の方々は家の外へ出て呆然とされている。殆どの家が半壊状態なのだ。怖くて家の中に入れないらしい。時折、瓦が滑って落ちてくる。まだ余震も続いている。考えてみると我が家だけが3年前に建替えているが、他の家は昔(20年以上前)ほぼ同時に建ったのにそのままなのだ。我家だけ外観は何事もなく建っているのが悪いみたい。西隣の家は2階から全部壁が落ちて中が見える状況、向かいの家は1階と2階が「くの字」に曲がっている。町内全滅だ。ペチャンコに潰れている家はないが殆どの家が歪んでいる。入れたものじゃない。
 昼前に停電だけは解消された。
TVを見てビックリ、神戸が燃えている。死者2000人とかの報道。エライことになっている。でも身動き取れない。第一交通手段が全てストップ。車で行こうにも道路が瓦礫で通れない。連絡を取ろうにも電話は不通、携帯も繋がらず万事休す。常務には2,3日休むとは伝えてあったがそれっきりだった。当日は家の中を整理・掃除するだけで終わった。当座の食べ物・飲み物は何とかある。未だ正月の残り物があった。一番助かったのはモチがあったことだ。水道とガスだけは不通だが電気は通ったので何とか生活は出来る。余震は続く、その夜は家族抱き合って毛布に包り寝た。
本当に家を建替えて正解だった。ご近所は避難場所の近くの小学校に移っていかれたので、ゴーストタウンに我家と家族だけが残った状態で何か不安もあった。音がしないのは何か恐ろしかった。
 震災4日目、やっと出勤した。交通手段がないのでバイクで神戸まで移動、直線距離は30kmだが道路が寸断されているので六甲の山越え5060km走らないといけないし、第一1月下旬だから非常に寒い、着込んだ上にアノラック・ベンチコート、マフラーに帽子、見られた格好じゃない。バイクは何度もパンクした。路面がガタガタの上に色々な物が落ちていて踏むと直にパンクする。通勤に片道2時間位かかっていた。目に焼き付いているのは道路上に並べられた毛布に包まれた遺体。3体、4体と並べて安置してある。夜間になると灯された蝋燭が異様!
<続く>














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